数年前から真横に倒れて生えている親知らずが問題になっていた。
歯は三分の一ほど見えていて、隣の奥歯を圧迫。
「虫歯にはなってないけど、気おつけて下さい」
と何度か歯医者さんに忠告されていた。

騒音で悩んでいた頃、歯の詰めものが少し欠けた。
痛みはないけどちょと見てもらおうと軽い気持ちで歯医者へ。
ついでに歯のクリーニングもしてもらおっかな、なんて
思ってレントゲンを撮ると、親知らずが虫歯になっていること
が判明。隣の奥歯も巻き込んで、神経までやられている
巨大な虫歯になっていた。
いつ激痛がおきてもおかしくない。
ガーン。
それも4本全部、大なり小なり虫歯。

「親知らず虫歯になって変色してるよ、こりゃヒドイね~、あー早く抜きてぇ~」
口コミで行った無痛治療を掲げるマッドサイエンティストっぽい
歯医者さんのひと声で親知らずを抜くことに。

親知らずを抜くのは痛い。
ペンチでミシミシぐりぐりされる。
抜いたあとも激痛。
血がたくさんでる。
薬が効かない。

などなどなど。とにかく恐怖を煽る情報しか聞こえてこない。
もう、抜く前から恐ろしく、憂鬱だった。
しかも当時は騒音で引っ越し1週間前という最悪のタイミング。

「まな板の鯉の気分でしょ」とマッドサイエンティスト。
たぶん気を紛らわしてくれているんだろうけど
苦笑いしかできず。
表面麻酔、注射で麻酔、いざ抜かん。
正直なにをされているのか全くわからない。
とちゅうで、歯科助手が「あっ」っと言って
先生が「そのまま続けて」と言ったのと、
黒い糸が口から出たり入ったりが見えたのだけ。
10分ほどで終了。
見えている部分の歯を削りとり、歯茎を切って
埋まっていた残りを取り縫ったという。
痛みどめと抗生剤をもらいお値段3900円。
想像よりもぐりぐりされず、痛くもなく、
意外と大丈夫じゃん?
親知らずって、楽勝じゃね?

・・・ほんとうの恐怖は例によってこれから訪れるわけで。